口がぽかん・・口呼吸が及ぼす身体への影響
呼吸の仕方と歯並びは非常に深く関係しています
ヒトは本来、鼻で呼吸することで正常に生理を機能させています。しかし、口まわりの筋肉の発達が不十分であることなどを原因として、鼻ではなく口で呼吸してしまう方がおられます。
口呼吸は、細菌やウイルスの侵入を容易にする上、口腔の乾燥によってむし歯菌や歯周病菌が繁殖しやすい状態を作り出します。
そして口呼吸のサインの1つが、テレビを見ているときなどに認められる「ポカン口」です。口をぽかんとあけていることでさらに筋肉の発達が遅れ、歯並びを乱してしまう原因になるのです。
細菌やウイルスの感染、むし歯・将来的な歯周病、そして歯並びの乱れの予防・改善のためには、口呼吸から鼻呼吸へと移行させることが重要となります。
なぜ口呼吸になるの?原因について
近年増加傾向?お子さんの歯並びや顎の成長の問題
硬いものを食べる機会の減少などにより、顎の成長が不十分となり、歯並びが乱れるお子さまが増えています。
以下のような症状がある場合には、お早目に当院にご相談ください。
お子さんにこのような症状は当てはまりませんか?
- 口をぽかんとあけていることがある
- 明らかに口呼吸をしている
- やわらかく食べやすいものばかり食べる
- 噛まずに飲み込んでしまう癖がある
- 寝つき・寝起きが悪い、日中に眠そうにしている
- いびき、歯ぎしりがある
- 舌先で歯を押す癖がある
- 口臭が気になる
口で呼吸したり、口がポカンとあいていたり、偏食気味なのは、
【口腔機能発達不全症】かもしれません
心身における障害がないにも関わらず、食べたり話したりする機能が十分に発達しないことを「口腔機能発達不全症」と呼びます。
専門的な治療・トレーニングによって、口呼吸、また歯並びの乱れの改善が期待できます。
お子さんの口呼吸のリスク
口呼吸をしていると、気づかないうちに以下のようなリスクにさらされます。
むし歯、将来的な歯周病
口呼吸により口腔が乾燥すると、むし歯菌・歯周病菌が繁殖しやすくなります。むし歯リスク、また将来的な歯周病リスクの上昇が懸念されます。
歯並び、咬み合わせの乱れ
口呼吸をしていると、お口の筋肉の適切な発達が難しくなります。舌を正しい位置に保持できないことなどを原因として、歯並びの乱れにつながることがあります。
風邪をひきやすくなる
口腔には、鼻における鼻毛や鼻水といった、細菌・ウイルスの侵入を防いだり、排出したりといった機能が備わっていません。口呼吸によって細菌・ウイルスが容易に侵入し、感染を起こすリスクが高まります。
口臭がする
お口をあけている事で、お口の中が乾燥し、細菌が増殖します。その為に口臭がしやすくなります。
口呼吸の治し方
1お口の筋肉のトレーニング
お口の筋肉のトレーニングを行うことで、口呼吸やポカン口などの改善が可能です。
2食事の際によく噛む
食生活の欧米化によって、日本人は硬いものを食べる機会が少なくなりました。やわらかいものでもしっかりと噛むことで、お口の筋肉が鍛えられ、口呼吸やポカン口を改善することが可能です。
3鼻の病気の治療
鼻炎など鼻の病気を原因として鼻が詰まり、口呼吸になっているケースもあります。その場合には、耳鼻科での病気の治療が必要です。
お口ポカンをトレーニングでの治し方
スポットポジションの保持
舌先が上の前歯の少し手前のポイント(スポット)にあるのが、舌の正しい位置です。
トレーニングでは、舌先を尖らせて、スポットに3秒間触れます。
ポッピング
舌全体を上顎に張り付けて、舌小帯(舌の裏の筋)を延ばすようにします。舌先はスポットに置きましょう。
ポスチャー
ストローを上の犬歯の後ろに置き、上下の歯を噛み合わせます。このとき、唇は軽く閉じ、また舌全体を上顎に張り付けるようにしてください。また、舌先はスポットに置きます。
あいうべ体操
大きく口を開いて「あー」、口を横に広げて「いー」、唇を前に突き出して「うー」、あっかんべーをしながら「べー」とそれぞれの音を伸ばします。口がその形になっていれば、声を出す必要はありません。
食事での噛む回数も顎の成長には重要です
近年は、食生活の欧米化などによって食事の際の噛む回数が減少していると言われています。これにより顎の発達が不十分となり、口呼吸や歯並びの乱れにつながることがあります。
食事は毎日必ず摂るものですから、食事の際にはしっかりと噛むようにしましょう。ときには硬いものも食べさせ、よく噛んでから飲み込むという癖をつけることが大切です。
叱って指導するよりも、保護者様が一緒に、「よく噛む」ことに取り組むのもよいでしょう。